日本の歴史とゴマの関係

世界において紀元前から栽培の歴史があるゴマは、日本でも重宝されてきました。
セサミンが健康成分として認められたのは最近ですが、ゴマと共に歩んだ歴史には古いものがあります。
日本でのゴマの歴史を振り返ってみましょう。

日本でゴマが広まった時期

日本でゴマがいつから食され、また栽培されていたかについては、様々な説がありはっきりとしていません。
しかし縄文時代後期(4000年前~)のものとされる遺跡から、ゴマの炭化したものが発見されています。
また飛鳥時代の大宝律令という法制度にゴマについての記載があることから、この時代に栽培されていたとする説もあります。
これらのことから日本でゴマが食用として扱われたのには、少なくとも数千年の歴史があると言えます。

日本にゴマが伝えられた経路

ゴマの原産地は熱帯アフリカのサバンナにあります。
そこからエジプトやインド、ヨーロッパに渡っていきました。
有名なクレオパトラもごま油を肌などに使っていたとされており、インドでは世界三大医学の一つであるアーユルヴェーダでもゴマ油を使用した治療法が存在します。
こうして西から伝わったゴマは中国、朝鮮を通り、日本に伝えられました。
ゴマ業界ではこのゴマが伝えられた経路のことをシルクロードにちなんで、セサミロードと呼んでいます。

日本の食文化としてゴマが定着した時期

日本で食文化としてゴマが定着したのは、仏教の影響が強いとされています。
仏教は6世紀頃に日本に伝えられましたが殺生を戒めていたため、修行僧は肉はもちろん魚なども口にすることはできませんでした。
この修行僧たちが口にできる料理を精進料理と呼びますが、この中でタンパク質や良質の脂質を含むゴマは貴重な栄養源でした。
ゴマ豆腐やゴマ和えなど現代の私たちの食卓でもお馴染みのゴマ料理は、厳しい修行に耐える僧侶たちのために考え出されたレシピです。
時代は変わり江戸時代でゴマは、天ぷら用の揚げ油として重宝されました。
この背景には、ゴマの作付面積が拡大されたことがあります。
食用以外にも、灯火(ともしび)用の油にもゴマ油は使われていました。
香ばしい香りからアロマとしての役目もあり、食だけではない幅広い使い道があったことをうかがえます。

また日本では煎りゴマ、すりごま、練りゴマなど用途によってゴマを使い分けるのが一般的です。
しかしこのような多様な使い分けは、中国や韓国を含める東アジアの一部に限られます。
アメリカでは専らハンバーガーのバンズにむきゴマが振りかけて使われ、アフリカなどでは白ごまペーストしか使われません。

現代ではゴマ由来の健康成分セサミンの効果から再注目されているゴマですが、昔から人々の生活に無くてはならない存在でした。
この機会にゴマの凄さを、改めて知っていただければ幸いです。
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