セサミンは加熱調理しても安心

世界的に効果が注目されているセサミンは、日本においても健康食品として親しまれています。
セサミンを食事から摂取している中で出てくる悩みで多いのは、加熱してもセサミンは失われないのかということです。
一般的に野菜は加熱時間が長いほど、ビタミンなどの栄養素を損失する可能性が高くなります。
セサミンは加熱により、量や成分が変わってしまうのでしょうか。

セサミンは加熱に強い

ゴマは香りが強くなることから、煎ってから使うことは多いですよね。
ゴマに含まれる抗酸化物質セサミンは、加熱することで成分が変化します。
変化と言っても劣化するのではありません。
セサモールやセサモール二量体という、セサミンと同じように抗酸化作用を持つ成分に変わります。
このためセサミンの含まれるゴマを煎ったり、料理の一環として油で揚げたりしても抗酸化成分を失う心配はありません。
ほかの植物由来の油は生成される過程で高温で処理されることから、部分的にトランス体と呼ばれるものに変わってしまいます。
このトランス体はトランス脂肪酸と言われるものでがんや不妊、心臓などの疾患のリスクを上げることから、摂取を控えるようにした方が望ましい油です。
マーガリンやフライドポテト、菓子などに多く含まれています。
しかしごま油は生成過程で高温処理を施しても、このトランス体がほとんど発生しません。
これは抗酸化成分のゴマリグナンが、トランス脂肪酸に変化するのを防ぐためです。

ゴマを加熱することで生まれるセサモールと他のゴマリグナン

セサミンはゴマ由来のリグナンですが、この他にも同じ仲間としてセサモリンやセサミノール、セサモールがあります。
それぞれの成分について、まとめてみましょう。

・セサモリン...ゴマ油に含まれる。油が酸化するのを防ぐ、セサミノールやセサモールなど抗酸化物質の前駆体。
・セサミノール...ゴマに少量含まれる抗酸化物質。動脈硬化などを予防し、焙煎する前のごま油に多く含まれる。
・セサモール...加熱処理をすることでセサモリンやセサミンから生まれる、ゴマ由来の抗酸化物質。抗酸化作用が強いことが特長。

セサミンが加熱することで生まれるセサモールは、焙煎した茶褐色のごま油に多く含まれています。
ゴマの中にセサモールはごく微量にしか含まれておらず、100g中のごまに対して0.1g以下しか含まれていません。
しかし加熱することで成分量が0.3gと、3倍以上に増えることがわかっています。

セサモールの効果

セサモールはセサミンと同じく抗酸化成分です。
肝臓でアルコールや脂質代謝をサポートする肝機能改善の効果だけでなく、がんや生活習慣病を予防するなどの働きがあります。
セサミンが加熱されることで変性したものですが、効果はセサミンとほぼ同じです。
このため物質の酸化を防ぐ力があり、上述のような健康維持だけではなく美容効果も注目されています。
ゴマを加熱することで生まれる成分にセサモールとセサモール二量体がありますが、セサモール二量体は肌への効果が確認されています。
(ここでいうセサモール二量体は化学または物理の力によって、セサモールの分子が2つ組み合わさり1つの分子になった状態です。
) セサモールはゴマの香りが強く化粧品などには不向きですが、ゴマに微量に含まれるセサモール二量体は香りが強くありません。
このため化粧品や塗り薬などへ、抗酸化成分として配合されるのに向いています。
セサモール二量体の効果としてはシミやそばかすなどに対する美白の効果や、シワなど肌の老化を防ぐ働きがあります。
またゴマ油を酸化から防ぐのと同様に、化粧品が日数がたつにつれ劣化してしまうことを防ぎます。

セサミンの入ったゴマやごま油を加熱しても効果が失われないか心配な方も、ゴマリグナンが生まれ変わることでパワーを保つので安心ですね。
セサモールが入っているごま油を使う時は、健康にいいからといって多用しすぎるとカロリーオーバーになるので注意しましょう。
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